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統合失調症のはなし その1

考えや気持ちがまとまりづらくなってしまう「統合失調症」。幻覚や妄想などさまざまな症状があらわれる精神疾患のひとつで、発症には遺伝的な要因や環境的な要因などが関係していると考えられています。約100人に1人がかかるといわれており、統合失調症の約7~8割は思春期から30歳までにかけて発病します。中年期を過ぎてから病気が発覚することもあります。

 

私たちが何かを考えたり、楽しい、うれしいなどと感じたりするとき、こうした思考や感情は脳の中の精神機能のネットワークを使って行われています。このネットワークがうまく働かなくなり、思考や感情がうまくまとまらない状態が、統合失調症です。原因ははっきりと分かっていませんが、脳の構造や脳内で情報を伝える神経伝達物質のバランスがくずれることが関係しているといわれています。また、遺伝的な要因やストレスなど環境要因も発症に関係しています。

 

統合失調症の症状は人によってさまざまです。大きく「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」の3つに分けることができます。

◇陽性症状

あるはずのないものが見えたり、聞こえたりします。

「妄想」現実にはありえないことを事実だと信じ込む

「幻覚」現実にないものをあるように感じる(自分を批判する声が聞こえる「幻聴」など)

「思考障害」考えをうまくまとめられない

「自我の障害」誰かに支配されていると感じる

 

◇陰性症状

あるはずのものがなくなり、感情表現や意欲が乏しくなります。

「感情の平板化(感情鈍麻)」喜怒哀楽など感情の表現が乏しくなる

「思考の低下」会話で比喩などの抽象的な言い回しが使えなかったり、理解できなかったりする

「意欲の減退」何かをしようという意欲や気力がなくなる

「集中力・持続力の低下」いったん始めた行動を続けることができない

「自閉(社会的引きこもり)」自分の世界に閉じこもり、人とのかかわりが減る

 

◇認知機能障害

「記憶力の低下」新しいことを覚えられない

「注意・集中力の低下」目の前の仕事や勉強など、必要な情報や刺激に注意を向けることができない

「判断力の低下」物事に対して優先順にをつけたり、計画を立てることができない