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女性のうつ病 その1

うつになる女性は、男性より約2倍多いです。その原因ははっきりと分かっていませんが、女性ホルモンの変化による生理的な要因や、就職・出産・育児・家事など女性の方が生活上の役割が多いといった社会的な要因が関わっているといわれています。

 

女性ホルモンは月経周期やライフステージによる分泌量の変動が大きく、女性の心と体はホルモンバランスの変動の影響を大きく受けるといわれています。女性ホルモンはエストロゲンとプロゲステロンがありますが、エストロゲンは、神経伝達物質のセロトニンを介して感情の調節に関わっています。そのため、エストロゲンの分泌が減ると気分が不安定になり、ホルモンバランスが変動する「月経前」「出産後」「更年期」は、うつ病に特に注意が必要です。

また、近年は女性の社会進出が著しく仕事上のストレスが増大したり、妊娠・出産・育児・介護などのライフイベントで生活環境が大きく変わり、担う役割も増えることが精神的・肉体的なストレスとなり、うつ病の発症に影響していると考えられています。

 

◇月経前不快気分障害(PMDD)

月経が始まる2週間前ごろから心身が不安定になりつらい状態を「月経前症候群(PMS)」といいます。PMSの症状にうち、こころの不安定さが強く出る場合は「月経前不快気分障害(PMDD)」と診断されます。月経周期によって、気分の不安定さや不安などが悪化したり良くなったりを繰り返す疾患で、うつ病の一種と考えられています。

症状は、「著しく不安定な気分」「いらいらしたり怒りっぽくなる」「気分が落ち込んだり自分を責めてしまう」「普段より集中できない」「倦怠感や疲労感がかなり強くなる」「眠れない、または寝すぎてしまう」「食べ過ぎたり、特定のものを食べ続けたりする」「月経前に、乳房の圧痛や腫れ、関節痛や筋肉痛、体重増加などの症状悩まされる」などが現われます。PMDDの症状は月経開始3~10日前にあらわれ、月経終了後は消失します。このような病気があるということを知るだけでも症状が和らぐこともあります。必要であれば、抗うつ薬や低用量ピルなどの薬を服用して治療します。