Skip links

うつ病のはなし③診断と治療

うつ病を診断するには、本人が感じている主観的な情報が最も重要になります。そのため一定の診断基準を設け、それに当てはまるか当てはまらないかといった観点から診断します。診断基準にはアメリカ精神医学会が作成した「DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル」と世界保健機関(WHO)の「疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10版(ICD-10)」の2つが用いられています。例えばDSM-5では、「ほとんど毎日、1日中ずっと気分が落ち込んている」「ほとんど毎日、1日中ずっと何に対する興味もなく、喜びを感じない」など9つの症状のうち決まった項目を含む5つ以上の症状があり、それが2週間以上続いている場合、うつ病と診断されます。

 

うつ病の治療は、「休養」、「薬物療法」、「精神療法」の3つです。

◇休養

十分な休養をとって心と体を休ませることはうつ病治療の第一歩です。こころとからだの両方を休ませることが何よりも治療につながります。

うつ病の人はまじめで自分に厳しい人が多いため、休むことに罪悪感を感じて休息をとらない人が多いのですが、焦らずにしっかりと休養をとることが回復への早道になります。また、職場での配置転換や残業時間を短縮してもらったり、家事の分担、会社や学校を休業・休職することが必要となる場合もあります。

自分のために、しっかりと休養をとりましょう。

 

◇薬物療法

うつ病の治療では薬物療法もとても大切です。うつ病は脳内の神経細胞の情報伝達にトラブルが生じる病気なので、脳の機能的な不調を改善し、症状を軽減するために薬物療法が行われます。

うつ病に用いられる薬にはさまざまありますが、日本ではSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)とよばれる抗うつ薬が中心に使われます。

人によって効果に違いはありますが、うつ病の治療薬は飲んですぐに効果が現れるものではないため、焦らずに服薬を継続する必要があります。副作用がでることもあります。医師の診断のもと細かな調整を行いながら少しずつ進めていくので、医師としっかり相談し薬を服用するようにしましょう。

 

◇精神療法

これまでしんどさを引き起こしていた自分自身の考え方の癖や行動・人間関係のパターンを振り返り、同じような状況の中で、うつ病が再燃・再発しないように、またよりよく対処できるように精神療法を用います。精神療法は、「認知行動療法」や「対人関係療法」などがあります。

認知行動療法では、認知に働きかけて気持ちを楽にします。認知とは、ものの受け取り方や考え方のことです。ストレスなどで固まって狭くなってしまった考えや行動に働きかけ、考え方のバランスをとってストレスに対応できる心の状態をつくっていきます。

対人関係療法では、対人関係に焦点をあて、そこでの感情や行動、関係性を変化させて問題を解決したり、対処法を身につけることでストレスを軽減します。