脂質異常症の治療は、食事療法、運動療法、薬物療法が中心となります。まず食事療法と運動療法を行い、それでも十分な効果が得られない場合は、薬の服用を始めます。
〇食事療法
食事療法というと食べたいものが食べられない厳しいものと考える方も多いですが、特別なメニューがあるわけではなく、食べ物の栄養バランスや摂取エネルギーを考えて無理のない形で続けていくことが大切です。
1.過食をしない
適正体重の維持や肥満の解消のために、過剰なカロリー摂取を避けましょう。腹八分目にして、間食や夜食を控えます。
2.動物性脂肪を控え、青魚などの魚を積極的にとる
動物性脂肪とは 動物に含まれる脂肪のことで、肉類、ラード、牛乳や乳製品、、ケーキやチョコレートなどのバターや乳脂肪を使った洋菓子類などに多く含まれています。動物性脂肪は、血液中の悪玉(LDL)コレステロールを増加させます。
また、イワシやサバといった青魚に含まれるEPAやDHAは悪玉(LDL)コレステロールを下げる働きがあります。
3.コレステロールを多く含む食品を控える
卵(魚卵を含む)、乳製品や肉類、レバーやモツなどの内臓類にはコレステロールが多く含まれます。
4.食物繊維が多い食品を積極的に摂取する
食物繊維には、コレステロールや中性脂肪が腸内で吸収されるのを妨げる働きがあります。とくに水溶性の食物繊維には、コレステロールを減らす作用もあるので、積極的に摂取しましょう。食物繊維が多い食品は、イモ類、根菜やキノコです。水様性食物繊維の多い食品は、野菜や豆、海藻などです。
5.アルコールを控える
アルコールの過剰摂取は、中性脂肪の増加につながります。適切なアルコール量は、「1日純アルコールで約20g」です。ビールなら中瓶(500ml)1本、日本酒なら180ml、焼酎なら100ml、ワインなら200mlが目安です。
〇運動療法
適度な運動により、中性脂肪が減少したり、善玉(HDL)コレステロールの上昇が期待できます。
脂質異常症の改善のためには、1日30分程度、少しきついけれどがんばれる程度の運動(中等度強度の有酸素運動)を行うことがよいとされています。中等度強度の有酸素運動とは、ウォーキング(速歩き)、スロージョギング、水泳、サイクリングなどです。
できるだけ毎日運動を行うことが理想的ですが、週3日以上で1週間の運動の合計が180分以上となるようにしましょう。
〇薬物療法
食事療法と運動療法を行っても脂質異常症が改善されない場合は、薬物療法を検討します。脂質異常症の治療薬には、コレステロール値を下げる薬、中性脂肪値を下げる薬、その両方を下げる薬と大きく3つに分けられ、病状などに応じて薬を決定します。必要な場合は、1種類だけでなく複数の薬を服用することもあります。