放っておくと動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞など重大な病気を引き起こす脂質異常症。脂質異常症は、血液中に多く(または少なく)なる脂質の種類によって4つのタイプに分類されています。
1.高LDLコレステロール血症:悪玉(LDL)コレステロールが多い
2.低HDLコレステロール血症:善玉(HDL)コレステロールが少ない
3.高トリグリセライド血症:中性脂肪(トリグリセライド)が多い
4.高Non-HDLコレステロール血症:総コレステロールから善玉(HDL)コレステロールを引いた値が高い
脂質異常症の原因は、過食や運動不足、肥満、喫煙、アルコールの飲みすぎ、ストレスなどです。特に、お腹の周辺に脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」の人は、悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪が多くなり、善玉(HDL)コレステロールが少なくなりやすいと言われています。
また、生まれつき血液中に悪玉(LDL)コレステロールが増えてしまう「家族性高コレステロール血症」があります。通常のタイプに比べると悪玉(LDL)コレステロール値が著しく高く、動脈硬化が進行しやすいことが知られています。男性は20台、女性は30台からころからコレステロールが高くなります。遺伝性ですので、家族も同じようにコレステロールが高く、心筋梗塞や狭心症などの心臓病を発症していることも特徴です。
脂質異常症はほとんどの場合、症状がありません。しかし、その状態が続くことで血管が傷付けられ、動脈硬化が起こりやすくなります。動脈硬化とは、動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態です。この動脈硬化が進行し、血管が狭くなったり詰まったりすることで、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を生じるリスクが高まります。脂質異常症を治療する目的は、そのような合併症を起こさないようにすることにあります。