統合失調症の診断に決め手となる検査はありません。診断は、症状や経過、他の病気、生活歴や家族歴などを総合的に見て行います。
治療は、薬物療法と非薬物療法(心理社会療法や休養・環境調整)が基本になります。通院でも入院していても同じです。
統合失調症で主に使われる薬は「抗精神病薬」です。抗精神病薬は、脳内で過剰になっている神経伝達物質の働きを調整し、陽性症状・陰性症状・認知機能障害の症状を改善し、再発を予防します。抗精神病薬は、「定型抗精神病薬(従来型)」と「非定型抗精神病薬(新規)」の2つがあります。
定型抗精神病薬は陽性症状の改善に効果がありますが、陰性症状を強めたり、認知機能障害を引き起こしたりすることがあります。非定型抗精神病薬は、陽性症状だけでなく陰性症状や認知機能障害にも効果が期待でき、副作用が発現しにくい特徴があります。抗精神病薬以外にも、症状に合わせて抗不安薬や睡眠薬、またその他副作用を抑えるための薬が併せて処方されることがあります。
薬の服用をやめると再び症状が出たり、症状が悪化することがあります。再発を繰り返すと症状が強くなり、治りにくくなります。自己判断での薬の中断は絶対にやめましょう。薬を続けることはとても重要です。
非薬物療法の心理社会療法では、当事者や家族を対象として、病気や治療について学びながら、困っていることに対する方法を学ぶ「心理療法」や、趣味の活動や就労に近い作業などを実際に手や身体を動かしながら学ぶ「作業療法」などがあります。
休養や療養のための環境を整える「環境調整」も大切な治療です。急性期は、ストレスの少ない環境でゆっくりと過ごしせるようにします。回復期では、少しずつ運動も取り入れ、規則正しい生活リズムを確立します。
統合失調症というと大きな病気のように感じますが、早めに治療を始めた方が病気の回復が早く、症状も軽くてすみます。こころの病気の初期は、自分が病気であるという認識がされにくいため、家族や周囲の人のサポートがとても重要です。周りや本人が何かおかしいと気づいたら、早めに医療機関を受診しましょう。