水痘は、水痘帯状疱疹ウイルスに感染することによって起こります。感染力が非常に強く、重症化することもあります。特に大人がかかると髄膜炎や脳炎などの重い合併症をおこしたり、後遺症を残すことがあります。妊婦さんが妊娠初期に感染すると、胎児が先天性水痘症候群に感染する可能性があります。
水痘は、飛沫感染(咳やくしゃみ)、接触感染(ウイルスに触った手で目や口を触って起きる)、空気感染(空気中に漂っているウイルスがのどや目の粘膜にくっついて起こる)で感染します。マスクや手洗いでは感染を防ぐことが難しく、唯一の予防法はワクチン接種です。
感染すると2~3週間の潜伏期間を経て、直径4mm以下の赤くて少し盛り上がった発疹が、頭を含めた全身に現れます。この発疹は2日ぐらいすると小さな水ぶくれ(水疱)になり、その後1週間程度でかさぶた(痂疲)になって治っていきます。全身の発疹がかさぶたになると他の人にはうつりません。熱は出ない場合もあれば、高熱が続く場合もあります。まれに肺炎や脳炎、心筋炎などの合併症によって重症化します。また、妊娠20週までに水痘に感染すると生まれてくる赤ちゃんの約2%が先天性水痘症候群(症状は手足の形成不良など)になります。また妊娠中は症状が重症化しやすいと言われています。
診断は症状や経過を見て医師が行います。確定診断のための検査はありますが、症状などから診断されることがほとんどです。
水痘には抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビルなど)があります。症状が軽い場合は、症状に対するお薬を飲みながら自分の免疫で治るのを待ちますが、症状が重い場合や合併症を起こす可能性がある場合は、発疹が出てから72時間以内に抗ウイルス薬を使用します。
予防は水痘のワクチンを受けることです。1歳から3歳未満で2回受けます。まず、1歳になって1回目を受けて、半年~1年後に2回目を受けるのが標準的です。また水痘にかかっていない人がウイルスに接触した時は3日以内にワクチンを受けると効果があります。