手足口病はその名のとおり、手足や口の中にでる水疱(水ぶくれ)性の発疹が主な症状です。おかしな名前ですが、英語でも「Hand-Foot-Mouth Disease」といいます。原因となるウイルスは「エンテロウイルス」と「コクサッキーウイルス」で、ウイルスの種類がいくつもあるので何度もかかる可能性があります。手足口病にかかる80%は5歳未満の子どもですが、まれに大人も感染します。
感染経路は、飛沫感染、接触感染、糞口感染(便の中に排泄されたウイルスが口に入って感染する)です。
3~6日の潜伏期間を経て、口の中の粘膜や手のひら、足の裏、足の甲などに水疱性の発疹が出ます。水疱の多くはかさぶたにならずに1週間程度で治ります。熱が出ることはありますが37度程度とあまり高くなく、1~3日でおさまります。ときに1~2か月後に手足の爪がはがれることがありますが、すぐに新しい爪が生えてきます。
手足口病は軽い症状でおさまることがほとんどですが、口の中にできた水疱がつぶれた後にできる口内炎(口の中にできた潰瘍)のせいで痛みがひどく、食べ物や飲み物がのみ込めずに脱水症になることがあります。まれに髄膜炎や小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症が知られています。
手足口病の特効薬はないので、通常は症状に対する対症療法のみで、熱を下げる薬や口内炎の痛み止めを服用します。手足の発疹がかゆい時はかゆみ止めを使う場合もあります。水分摂取を心がけ、安静と栄養に気をつけることが大切です。