前立腺肥大症であるかどうかは、いくつかの検査によって分かります。基本的な検査は、自覚症状の評価、直腸内指診、尿検査、尿流測定、残尿測定、前立腺超音波検査、血清PSA(前立腺特異抗原)測定などです。
前立腺肥大症の治療は、薬物治療や手術治療などです。まずは薬物療法から始めますが、尿閉や肉眼的血尿、膀胱結石などの合併症がみられる場合には手術を行うことがあります。
1.薬物療法
現在のところ最も一般的に使用されているのが「α1受容体遮断薬」です。過剰に緊張していた前立腺の筋肉を緩めて尿道への圧迫をやわらげることで、排尿を楽にすることができるようになります。「5α還元酵素阻害薬」は前立腺肥大症の発症と進行に関わっている男性ホルモンを減らして、肥大した前立腺を小さくするお薬です。また、「PDE5阻害薬」は、前立腺や尿道の筋肉を緩めることで尿の通りをよくする薬です。
2.手術療法
薬物治療を行っても、症状の改善が得られない場合や合併症を繰り返す場などは、手術を選択します。手術は、1)尿道から内視鏡を挿入して肥大した前立腺を削る経尿道的前立腺切除術(TUR-P)、2)尿道から内視鏡を挿入して肥大した前立腺を核出する経尿道的前立腺核出術(電気メスで行うTUEBとレーザーで行うHoLEP)、3)尿道から内視鏡を挿入して高出力のレーザーで肥大した前立腺を蒸散(蒸発)させるレーザー前立腺蒸散術などがあります。
前立腺肥大症で、日常生活の中で気を付けることは、
・尿意があったらすぐトイレに行く、我慢しない
・便秘にならないよう心がける
・身体を冷やさない
・お酒を飲みすぎない
・日常的に続けられる適度な運動を習慣付ける
・風邪薬や抗ヒスタミン薬、精神安定剤(排尿障害を悪化させる成分が含まれていることがあります)などを飲むときは医師に相談する
などです。
前立腺肥大症は、中高年以上の男性にはよく見られる病気です。薬物療法や手術などの適切な治療により、快適な日常生活を送れるようになります。早期発見、早期治療を行うためにも、なにかおかしいなとおもったら、早めに医療機関に相談してくださいね。