前立腺肥大があっても、必ずしも全てのケースで治療が必要になるわけではありません。前立腺肥大によって起こる症状がどの程度か、またどれくらい生活の支障となるかが重要です。
前立腺肥大症が進行することで、症状の悪化のみでなく、様々な合併症を引き起こすことがあります。
1．肉眼的血尿
目で見て血の色が認識できるものを肉眼的血尿と言います。前立腺肥大がある人は排尿時のストレス（圧力）が原因で血管が破綻し出血することがあります。
2．尿路感染
前立腺肥大による排尿障害のため残尿が増え、本来尿路は無菌ですが、残尿自体が細菌の温床となって尿路感染を起こしやすくなります。また、尿の勢いが弱くなるため細菌を自分の力で排出する力が弱くなり、尿路感染症のリスクが上昇すると言われています。
3．尿閉
膀胱内に尿が溜まってるのに、排尿しようと思っても出てこない状態です。肥大した前立腺が膀胱の出口を塞いでしまいために起こります。この状態が長く続くと、次第に腎機能に影響が出てきて腎不全を発症することがあります。
4．膀胱結石
膀胱内に残尿がある状態が長くなると、結石ができることがあります。小さいものなら尿とともに排出されますが、大きくなると尿管や膀胱、尿道に詰まって痛みや排尿障害の原因となります。
5．腎機能障害
膀胱の中に残尿が増えるなどが原因で、腎臓から膀胱への尿の流れが妨害されると、「水腎症」とよばれる腎臓がはれる状態になり、腎不全に移行することがあります。
6．溢流（いつりゅう）性尿失禁
「溢流性」とは「あふれて流れる」という意味で、膀胱内に常に多量の残尿が存在するために尿が溜められなくなり、尿が少しずつ膀胱からあふれてしまい、尿もれが起きます。