前立腺が肥大することで様々な症状が出てくる「前立腺肥大症」。前立腺は50歳を過ぎるころから肥大することが多く なり、70 歳代以降では 7 ~ 8 割の人に肥大があると言われています。前立腺が肥大する原因はまだはっきり分かっていませんが、男性ホルモンを含む性ホルモン環境の変化が関係していると考えられています。
前立腺は男性にしかない生殖器の一つで、膀胱の下にあり尿道を取り囲んでいます。そのため、前立腺が肥大すると尿道が圧迫されて、排尿に関わるいろいろな症状が出現します。正常な前立腺の大きさはクルミくらいの大きさ(重さ約20g)ですが、前立腺が肥大すると卵やミカンくらいに大きさになります。前立腺肥大は、30歳代から始まり50歳で3割、60歳で6割、70歳で8割にみられますが、すべての人に治療が必要というわけではありません。治療を必要とする前立腺肥大症は、4分の1程度と言われています。
前立腺は肥大すると尿道を圧迫するために、肥大の進行とともに様々な自覚症状が出て、徐々に進行していきます。第1期から第3期までの症状があります。
◆第1期「膀胱刺激期」
肥大した前立腺が、膀胱や尿道を刺激することにより起こります。
・トイレに行く回数が増えた
・尿の勢いがない
・トイレに行ってもまたすぐに行きたくなる
◆第2期「残尿発生期」
肥大した前立腺が尿道を圧迫し、尿道が細くなるために症状がでます。ひどくなってくると、排尿しても尿を膀胱から出し切ることが出来なくなり、残尿が出現します。
・力まないとおしっこがでない
・トイレに立ってからおしっこが出るまでに時間がかかる
・おしっこの切れが悪い
・おしっこの途中で尿が途切れてしまう
◆第3期「代償不全期」
さらに症状が進むと、ときに尿が出なくなります。徐々にでなくなったり、飲酒や便秘などをきっかけに突然でなくなる人もいます。この段階の症状が出たら、早めに医療機関を受診する必要があります。
・トイレに行く回数が非常に多くなった
・排尿に数分かかる
・尿の勢いが悪く、ぽたぽたとしか出ない
・尿が出なくなる