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脂質異常症のはなし その1

中性脂肪やコレステロールなどの脂質の値が基準値から外れた状態を「脂質異常症」といいます。脂質異常症の自覚症状はほとんどありません。そのため健康診断などで指摘されても放置している人が多いのですが、放っておくと「動脈硬化」になり、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を生じるリスクが高まります。

 

血液中にある「脂質」は、コレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸の4種類です。コレステロールや中性脂肪と聞くと体に悪いイメージがあるかもしれませんが、実はどちらも人間の体に欠かせないものです。コレステロールは髪や皮膚を滑らかにし、細胞膜や脂肪の消化吸収に必要な胆汁酸、ホルモンを作る材料になります。中性脂肪は、体内で貯蔵され体を動かすための大切なエネルギー源となったり、皮下脂肪になって保温や内臓を衝撃から守る働きがあります。しかし、これらの脂質が多すぎたり少なすぎたりすると問題になってくることがあります。

 

コレステロールにはいくつか種類があるのですが、その中でも悪玉(LDL)コレステロールと善玉(HDL)コレステロールという言葉を聞いたことがある人は多いと思います。悪玉(LDL)コレステロールは、肝臓で作られたコレステロールをからだの隅々にまで運ぶ働きをします。反対に善玉(HDL)コレステロールは、増えすぎたコレステロールを回収し、さらに血管壁にたまったコレステロールを取り除いて、肝臓へ戻す働きをします。悪玉(LDL)コレステロールが多いと体に運ばれるコレステロールが多くなり、善玉(HDL)コレステロールが少ないと回収されるコレステロールが少ないので、コレステロールがたまりやすくなります。悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪が多すぎたり、善玉(HDL)コレステロールが少なすぎる状態を「脂質異常症」と呼びます。