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肝炎の基礎知識「B型肝炎」

B型肝炎は、B型肝炎ウイルスに感染することで起こる肝臓の病気です。感染している人の血液や体液などを介して感染します。日本での感染者は人口の2%以下ですが、シンガポールを含む東南アジアでは8%を超えていると言われており、その分感染するリスクは高くなるので注意が必要です。

 

B型肝炎の感染は、B型肝炎ウイルスの含まれる血液や体液が体内に入ることで起こります。具体的には、B型肝炎ウイルスに感染している人と性交渉をもった場合、注射針・注射器をB型肝炎ウイルスに感染している人と共用した場合や、感染している人の血液が付着した針を誤って刺した場合などです。こどもは、B型肝炎に感染している母親から生まれる際に起こる母子感染が一般的です(母子感染防止策を行うことで感染は防げます)。まれに父子感染や感染経路不明で感染することがあります。

 

B型肝炎ウイルスに感染すると、1か月~6か月(平均3か月程度)の潜伏期間を経て、全身の倦怠感、発熱や頭痛、吐き気、食欲不振、下痢などの症状が現れます。これにひき続いて黄疸(皮膚や白目が黄色くなります)や肝臓がはれる症状が出ることもあります。症状が出ないまま治ってしますこともあります。ごくまれに劇症肝炎(突然肝臓が働かなくなる)など重傷合併症を起こします。また、感染者の10〜15%が慢性肝疾患(慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌) へ移行します。

 

B型肝炎(急性肝炎)は抗ウイルス療法などの治療はありません。自然治癒が期待できるので、治療はせずウイルスが排除されるのを待ちます。劇症肝炎になってしまうと、抗ウイルス剤を使ったり、血液を浄化するための血漿交換、血液透析などの治療が必要です。

慢性肝炎に移行した場合は、抗ウイルス薬を使用したり、肝炎を抑える目的で肝庇護療法を行います。

 

B型感染の予防には、予防接種が有効です。ワクチンは合計3回接種が必要で、1回目の2か月後に2回目、1回目の6か月後に3回目を接種します。シンガポールではA型肝炎を受けていない場合に同時に接種できる「A型肝炎・B型肝炎混合ワクチン」があります。

日本では2016年10月から予防接種が定期摂取になっていますが、それ以前は希望者のみ接種する任意接種でした。ご自身やお子さまにワクチンの接種を検討される方は、お近くに医療機関に相談してみてくださいね。